スヨリト一家の日々の食卓。

眠るようにして命を分けてくれる羊…。

スヨリト一家の食卓は、生きた羊を肉にするところから始まります。このように書くと壮絶なシーンを思い浮かべてしまいそうになりますが、そのプロセスは至って静かで、これこそが肉歴の長さを裏付けるシーンなのではないか? と感じてしまうほど所作が的確でスマートです。

が、それでもやっぱりこの場でお見せするのはどうなのか? という疑問も残りますので、どうしてもご覧になりたい方はお店でスタッフにお申し付けください(笑)

茹でた羊肉を「チャンスンマハ」といいます。脂身もまたご馳走。羊の脂の融点は44℃〜55℃と高いため、人間の体温では溶けません。

食卓には、まる茹でされた羊肉がボウルに入れられた状態で鎮座します。これを素手やナイフで削いで食べます。

下の写真のとぐろを巻いた黒いホースのような食べ物は、蕎麦粉に羊の血や調味料・香辛料を混ぜて練った生地を羊の腸に詰めたもの。「モンゴルの血のソーセージ」として店舗でも提供しています。

血のソーセージ(写真中央の黒い物体)は炭水化物とミネラル(血液)をおいしく食べる知恵。

春から秋までの間に収穫した作物は、たいてい塩漬けにして保存食とします。

このように、モンゴル民族の食文化の特徴は、何と言っても羊肉が食の中心にあること。自ら育てた羊を自ら肉にする。その肉が食事の70%を占め、牛乳を材料にしたチーズやバターなどの乳製品が10%ぐらい。残りの20%でソバやトウモロコシなどの炭水化物や、ニンニク、ニラ、ニンジンなどの少量の野菜を摂取している…というような印象です。

食卓の風景が実にプリミティブですよね。モンゴルの食文化が、今でもまだかつての遊牧生活の延長にあるから…というのも原因なのかもしれません。とにもかくにも羊飼いの暮らしぶりが今でも随所に垣間見られます。

スヨリトの兄。二の腕がモモ肉(笑)

朝から乾杯。生の唐辛子をかじりながら蒸留酒(…しかも、アルコール度数56度)を飲み干します。

ちなみにお酒の摂取量も半端ではありません。上の写真は冬のある日の朝食シーンですが、スヨリトの兄はアルコール度数50度ほどの蒸留酒を楽しみます。聞けば、冬場は農閑期ゆえ朝から飲むのだ! ということだそうですが、それでも朝から720ml入の蒸留酒を1本空けてしまうというのは、なんだかちょっぴり恐ろしい…。

スヨリトの兄の二の腕がモモ肉みたいでビジュアル的にはこれまた恐ろしいのですが、スヨリトと同じく心優しい兄貴です。

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店主スヨリトのふるさと。

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主食はあくまでも羊肉!?